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2026/07/06
知財トピックス外国特許事務の業務 出願機会が少ない国・地域への出願例 サウジアラビア(SA)・アラブ首長国連邦(UAE)③
※本記事は、2024-2025年当時に確認した情報・実務対応に基づくものです。必要書類や認証手続きは、国・地域、現地代理人、提出先、時期によって変更されることがあります。以下の内容は、当時の情報及び運用をもとに、一般化・簡略化して記載したものです。特に中東地域では近年、特許法の整備・改正が急速に進められており、制度や手続きの必要事項などが現在とは異なる可能性がありますので、予めご了承ください。
サウジアラビア(SA)・アラブ首長国連邦(UAE)への出願手続き例をご紹介したコラムの最終回です。本記事では、出願指示以降の手続きについてご紹介します。(第1回、第2回もご参照ください)
③出願指示送付・出願報告受領 ~コミュニケーションを楽しむ~
英文明細書や補正書なども含めてすべての書類が整ったら、いよいよ現地代理人に正式な出願指示を送ります。
その後、期限までに出願書類が提出され、出願報告を現地代理人から受領したら、次は出願報告の内容を確認します。
SA/UAEの出願では、現地代理人のレターは英語で届く一方、庁書類すべてに英訳がついているわけではなく、ほぼアラビア語のままでした。そのため、レターに記載されている情報と、庁書類の情報が合致しているか、アラビア語の部分については機械翻訳も利用しつつ確認します。出願日、出願番号、出願人名、等の基本情報に加え、審査請求や年金の期限についても確認し、その後の管理を確実なものにしていきます。
特に出願維持年金については、SAとUAEでは期限(納付期間)が異なるため、間違いがないよう今一度整理して、現地代理人に確認しました。
確認が完了したら、出願日や出願番号などの書誌事項と併せて出願が無事提出されたことをお客様にご報告します。
なお、当該案件のSAにへの出願指示に対し、現地代理人から「今後のために国際公開公報の表紙の英訳がほしい」と返信があったため、外国特許事務で速やかに英訳を作成して追送しました。
現地代理人とのやり取りでは、こちらにとって現地語の書類が読み慣れないものであるのと同じように、現地代理人にとっても、日本語資料は確認が難しいことでしょう。そのため、必要な情報を相手に伝わりやすい形で補足することも、円滑な手続きには大切だと考えています。
当所では、得た情報や経験を、担当者個人の知識にとどめず、部署内の全員と共有しています。その一つがマニュアルの作成です。マニュアルの作成が通常の業務となっており、誰もが手続きできるようにしています。例えば、SAについて追送の依頼を受けたSAへの国際公報の表紙の英訳についても、事前に準備しておくよう、マニュアルに反映しました。
もちろん、次に同じ国へ出願する際には、必要書類や手続きが変わっているかもしれません。そのため、過去の経験をそのまま使うのではなく、前回の情報を出発点として、最新の情報を確認しながら対応します。
それでも、またゼロから確認を始める場合に比べ、経験に沿って情報を更新していくほうが、格段にスムーズです。
特に認証手続きについては、ほかの国でも必要になることがあるので、参考になるところです。
このように、得た知識や経験を後々活かせるように常に情報共有しているところも、当所の特徴になっています。
また、現地代理人とのやりとりでは、相手国の休日や文化的背景にも配慮する必要があります。中東地域の休日・祝祭日を確認したところ、イスラム圏には西暦(グレゴリオ暦)ではなく、独自の暦(ヒジュラ暦)があり、「週末」は「土・日」ではなく、「金・土」であることがわかりました。つまり、SA/UAEの週末と日本の週末とが重なる「金・土・日」は、連絡が止まります。また、ヒジュラ暦に基づく祝祭日も毎年同じ西暦日付になるとは限りません。
こうした点も考慮して連絡を取り合う必要があると頭に入れて、やりとりをします。
当該案件でやりとりを頻繁にしていたちょうどそのころ、「イード・アル=フィトル(Eid Al-Fitr)」というラマダン(断食期間)明けのお祭りがあることがわかりました。イスラム圏では最大の祝祭とのこと。
やりとりの中で「良いイード・アル=フィトルを!」という一言を添えたところ、現地代理人からも「イード・アル=フィトルへお祝いの言葉をいただき非常に感謝しています。」と丁寧な返信をいただきました。
現地代理人との出願手続きに関わるやり取りの中で明るい返信をいただけたことは、とても嬉しかったです。
特許出願とは直接関係しないように見えるかもしれませんが、このようにちょっとした機会に異文化コミュニケーションを体験でき、また信頼関係を構築しながら手続きを進められることも、外国特許事務の仕事の楽しいところです。
(海外の代理人とのやりとりについては、別コラム『「外国特許事務」とは?』、『外国特許事務と英語について』も参照ください。)
以上、外国特許事務の業務として、出願機会が少ない国・地域への出願について、一例をご紹介しました。
国・地域によって手続きに必要な書類や手続きの手順が異なるところが、海外への出願の難しいところですが、当所では、比較的出願機会が少ない国・地域についても、現地代理人と連携して対応いたします。ご不明点な点がありましたら、どうぞ安心してご相談ください。
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