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外国特許事務の業務 出願機会が少ない国・地域への出願例 サウジアラビア(SA)・アラブ首長国連邦(UAE)②

※本記事は、2024-2025年当時に確認した情報・実務対応に基づくものです。必要書類や認証手続きは、国・地域、現地代理人、提出先、時期によって変更されることがあります。以下の内容は、当時の情報及び運用をもとに、一般化・簡略化して記載したものです。特に中東地域では近年、特許法の整備・改正が急速に進められており、制度や手続きの必要事項などが現在とは異なる可能性がありますので、予めご了承ください。

サウジアラビア(SA)・アラブ首長国連邦(UAE)への出願手続き例をご紹介したコラムの第2回です。本記事では、出願前の準備についてご紹介します。(第1回もご参照ください)

②出願前の準備 ~サイン書類・認証手続きなど~

 

サイン書類や認証手続きの確認

SA/UAEでの出願準備では、通常の出願書類のほか、サイン書類や認証手続きの確認が重要になります。

当該案件では、SA/UAE兼用の個別委任状、UAE用の譲渡証書、UAE用の出願人登記簿謄本について、公証・アポスティーユ認証の要否を確認する必要がありました。

なかでも注意を要したのが、「出願人登記簿謄本にどのような認証を受けるか」ということです。UAEは当時、ハーグ条約(領事認証不要の条約)の締約国ではなく、形式的には領事認証が必要なはずですが、領事認証には相応の手間と時間がかかります。そこで、さらに情報を集めた結果、当該案件では、「英訳と翻訳者宣誓書を添付して宣誓書に対して公証を受ければ、領事認証は不要」という方針で対応することになりました。

すべての認証手続きが公証役場で可能であることがわかり、公証役場へ必要書類を確認しました。確認した主なポイントは以下のとおりです。

  • SA/UAE兼用委任状の認証に必要な登記簿謄本と、UAEに送る登記簿謄本とを兼用できるか。
  • SA/UAE兼用委任状について、どの国向けの手続きとして認証申請を行うべきか。
  • 出願人および発明者について、印鑑証明書等の本人確認資料が必要か。
  • 当所が認証手続きを代行するために委任状が必要か。
  • 登記簿謄本の英訳と翻訳者宣誓書の認証について、誰が署名し、どのように公証を受けるか。
  • 公証役場に持参すべき身分証明書や添付書類は何か。

このように、単に「サイン書類を準備する/認証手続きを行う」といっても、実際には、どの書類に、誰が、どの立場で署名し、どの認証を受けるのかを一つずつ確認していく必要があります。

また、発明者の署名についても、「個人として署名する」場合と「企業の被雇用者として署名する」場合とで、少し手続きが異なります。当該案件では、お客様に、どちらの形で手続きするのがよいかを確認したうえで、方針を決めました。

細かいところですが、こういった点もお客様の意向を確認したうえで進めていきます。

書類の準備

認証手続きが必要な場合、お客様には、サイン書類に署名をしていただくだけでなく、「登記簿謄本」や「印鑑証明書」など、必要な書類を入手して送っていただくことになります。そのため、外国特許事務では、必要書類を整理し、お客様にできるだけ分かりやすくご案内します。

また、SA/UAEのサイン書類は英語とアラビア語で作成されていましたが、アラビア語の部分は当所で直接内容を作成することが難しいため、出願人名、発明者名、発明の名称、国際出願日、出願番号など、必要な情報を現地代理人に伝え、アラビア語部分に必要事項を入力したフォームを送付してもらうよう手配しました。

現地代理人からアラビア語の部分に必要事項が入力された各サイン書類フォームを入手したら、外国特許事務はサイン書類の和訳を作成します。アラビア語部分と英語部分とを照らし合わせて、お互いが一致していることを確認します。

なお、このときは確認の過程で、現地代理人が入力した部分に誤りが見つかり、フォームを再作成してもらいました。すべてを現地代理人任せにするのではなく、当所で確認できる範囲を丁寧に確認することが大切と考えています。

さらに、お客様(出願人代表者および発明者)に署名いただく際に迷われないよう、署名日や署名場所など、どこにどのように入れていくのか、どこに署名をするのか、という説明書きを入れたサンプルも作成しました。海外出願用のサイン書類は、日本国内の書類とは形式が異なることも多いため、記入方法を明確にしておくことで不備を防ぐためです。

こうして、お客様にご署名いただくサイン書類の準備が整ったら、サイン書類とともに、手続きに必要な書類をお客様にお知らせして、入手後当所へ郵送していただくよう、お願いをしました。調査した内容を簡潔にまとめ、最少・最短のやりとりで済むようにするのも、外国特許事務の重要な役割です。

認証手続き

お客様からサイン書類およびその他必要書類が返送されたら、サイン書類に不備がないか、必要書類が全部そろっているか、登記簿謄本の有効期限に問題がないか、などを確認したうえで、公証役場で認証手続きを代行しました。

ここまでを文章にすると簡単に見えるかもしれませんが、実際には、必要書類の確認、現地代理人への照会、お客様への案内、返送書類の確認、公証役場との調整など多くの工程があり、時間を費やしています。

サイン書類に不備があったり、必要な書類がそろっていなかったり、謄本の有効期限が切れてしまっていたりすると、最初からやり直しになってしまうため、認証の代行が無事完了すると、ホッとします。

 

この間、もちろん、所内での明細書ドラフト作成の期限管理や、お客様へのドラフトの送付、そして出願に必要なその他の書類や情報を準備していく、といった、どの出願でも行う作業を、同時進行で行っていきます。SA/UAEともに「アラビア語」での出願になるため、現地代理人は英語からアラビア語に翻訳する必要があります。その期間を確保できるように考えながら、翻訳にかかわる期限を設定し、管理していきます。

(サイン書類作成・翻訳の期限管理については、別コラム『「外国特許事務」とは?』、『外国特許事務と英語について』『「外国特許事務」と「期限管理」』などを参照ください。)

 

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