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2026/02/09

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外国特許事務の業務 マイナー国への出願例 サウジアラビア(SA)・アラブ首長国連邦(UAE)①

日本から海外への特許出願で多いのは、アメリカ、ヨーロッパ、中国、インドなどで、出願数が多いと現地の代理人とのやりとりも日常的に行われているため、情報やノウハウも豊富です。

一方で、時折、当所として初めて/久しぶりに経験する国・地域を扱うこともあります。

本コラムではその例として、2024年後半~2025年前半にかけてサウジアラビアおよびアラブ首長国連邦へ特許出願を行ったときに、外国特許事務がどのように情報を整理し、リスクを回避しながら進めていったのかをご紹介します。

※以下の内容は、当時の情報及び運用をもとに、一般化・簡略化して記載したものです。特に中東地域では近年、特許法の整備・改正が急速に進められており、制度や手続きの必要事項などが現在とは異なる可能性がありますので、予めご了承ください。

 

①出願依頼の受領 ~出願に必要な情報収集と整理~

まず、お客様より国際出願の移行の依頼を受けた際、移行国を確認しますが、その中にサウジアラビア(以下、SA)およびアラブ首長国連邦(以下、UAE)が含まれていました。

日本から海外へ特許出願をする「内外特許」として、SAおよびUAEは久しぶりでしたが、当所は海外から日本へ特許出願をする「外内特許」や、日本から海外に商標出願をするといった経験も豊富です。お客様から具体的な現地代理人の指定がない場合には、これまで当所とお付き合いいただいた、信頼できる現地代理人に対応を依頼します。

今回は同じ現地代理人に、SAとUAEの両方を依頼することになりました。現地のSAオフィスとUAEオフィスが、対応してくれます。

最初に、現地の代理人に、元となる国際出願の公報を送り、このような内容の特許出願を受任いただけるか、お伺いをします。ほかのクライアントとのコンフリクトや取り扱い分野の確認です。

受任OKであれば、出願に必要な情報を質問します。具体的には

・費用見積もり

・出願言語、出願時に必要な書類、サイン書類の要否

・明細書やクレームの形式

・審査請求・年金制度

・優先件証明書の及びその翻訳の要否

・その他特別な留意点

などです。

明細書の言語や形式については、明細書や補正案を作成する技術担当および翻訳担当のための情報となります。

 

さて、この質問への回答をもとに、外国特許事務はさらに細かく必要な情報を集め、整理していきます。

そして、出願時に必要な書類・情報としては、以下が必要なことがわかりました。

 

SA/UAE兼用の個別委任状

委任状は、包括委任状と個別委任状とがありますが、今回は、以下のような要領で個別委任状を準備することになりました。

  • 出願人(企業の代表者)が署名。
  • SA用に公証・アポスティーユ認証を受け、現地代理人がそれをUAE用に領事認証を付けて出すことで、委任状は兼用可能。
  • アポスティーユ認証があれば、日本における領事認証手続きは不要。
譲渡証書(SA/UAEそれぞれに必要)
  • 発明者が署名。英文の発明の名称は、国際公報に記載のものを使用する。
  • UAE:公証要。領事認証は不要。
  • SA:公証・領事認証ともに不要。
出願人登記簿謄本(UAEに必要)
  • 認証を受けた出願人の登記簿謄本。英訳要。
その他の必要事項:
  • SA/UAE共通:出願人情報及び発明者情報(氏名、住所、国籍)
  • SA/UAE共通:明細書・クレーム・要約書・図面。英文を送付し、海外代理人側でアラビア語翻訳をしてもらう。SAとUAEのアラビア語にはローカルな差があるが、それは現地代理人が対応する。(必要最小限の翻訳費用で済むようにしてもらう。)
  • SA:代表図を伝える。

そして、SAもUAEも、出願時に審査請求することはできない(出願後の方式審査を経てからとなる)、出願維持年金が必要、ということがわかりました。タイミングはそれぞれ異なります。

国によって制度が異なるため、こうした点も事前に確認が必要です。(審査請求や年金については、別コラム『「外国特許事務」と「期限管理」』、『外国特許出願と審査請求管理』もご参照ください。)

以上、出願に必要な情報収集と整理についてご紹介しました。この後の手続きについては後続のコラムでご紹介します。

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