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外国特許の年金について

これから海外への特許出願を考えているお客様にとって、特許が取れるかどうかに加えて、特許出願にはどのような費用がかかるのか?というのは気になるポイントでしょう。

外国特許出願に関し、「出願費用」以外にかかる費用で代表的なものとして、

・審査請求費用
・優先権主張費用
・翻訳費用
・オフィスアクション(拒絶理由通知)への対応費用
・年金費用

などがあります。

今回はその中で「年金」について取り上げます。
年金とは、その名の通り「毎年支払うお金」です。
英語では ”Annuity” や ”Annual fee” ”Renewal fee” などと呼ばれます。
他の費用は、例えば審査請求費用は審査請求をするとき、優先権主張費用は優先権主張をするとき、翻訳費用は翻訳を行うとき、オフィスアクション費用はオフィスアクションに対応するとき…というように、「その作業をするとき」にかかる費用というような感覚で、わかりやすいのですが、「年金」はそれとは異なり、「特許出願または登録を維持するために毎年かかる費用」となります。

ではその「毎年」とは、いつから「毎年」なのか?というと、出願中(審査係属中)からの場合と、登録後からの場合とがあり、国によって異なります。
前者は①出願維持年金、後者は②登録維持年金、と呼ばれ、①は「出願を維持するための年金」、②は「登録を維持するための年金」です。

①出願維持年金

代表的な国としては、欧州特許庁(EPO)、ドイツ、スウェーデン、オーストラリア、カナダ、サウジアラビアなどがあります。出願中(審査係属中)も年金が必要なため、審査が長引くとその分年金の支払いが増え、コストがかかります。特許存続期間中は、登録後も年金は続きます。

②登録維持年金

代表的な国としては、日本をはじめ、イギリス、シンガポール、中国、韓国、台湾などが該当し、出願中(審査係属中)には年金は発生しませんが、特許が登録となった場合に、登録維持年金の納付が必要になります。

また、①と②の間のような制度を持つ国もあります。
「特許登録前から年金支払い義務があるものの、特許査定を受けて登録する場合に、それまでに累積した年金をまとめて支払う」というものです。登録にならなければ、年金の支払いも発生しませんが、登録になった場合は、さかのぼってそれまでの年金を納付することになるのです。タイやインド、インドネシア、ロシアがこのような制度になっており、登録料の支払い時にそれまでの累積年金をまとめて支払うことになります。

なお、アメリカの場合は、特許付与後に「毎年」ではなく、「3年半、7年半、11年半」のタイミングで納付期間があるので、登録を維持する費用は「年金」ではなく「維持費 ”Maintenance fee”」と呼ばれます。管理がやや複雑になり、一度に支払う料金も多くなります。

年金の料金は、請求項数に応じて年度ごとに変わることが多く、何年度から納付が必要か、その起算日はいつからなのか、などは、国ごとに様々です。

年金は、期限までに納付しなければ出願や特許権を失ってしまうという、非常に重要な費用です。
けれどもこのように国ごとに制度が様々なため、年金管理のみを専門に行う機関があるくらい、年金管理は複雑かつ大切な業務なのです。

お客様の大切な特許出願・特許権を守るため、きさ特許商標事務所では海外代理人と連携して、確実な年金管理をしております。安心して管理をお任せください。
事前のお見積りが必要な場合は、ご遠慮なくご相談ください。

なお、海外の詐欺グループが、英文の書類で「年金・更新費用の督促状・請求書」のようなものを出願人様へ直接送付するケースが時折起きています。
特許事務所を介して年金管理を行っている場合、出願人様へ直接そのような書類が特許庁から届くことはありません。
心当たりのない書類が届いた場合は、十分ご注意ください。

*掲載時(2025年9月時点)での情報です。

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